プストタ(空虚)に鳴る鐘 

武蔵野美術大学卒業制作展【研究室賞】

カード式20弁オルゴール、Wトレス、木、軽金属、壁にペン

展示風景
展示風景

わたしたちは様々に言葉を扱う。

しかし、私は言葉を上手く扱えているのかときどき不安になる。

思いもよらぬ言葉に傷つくことがある。

同じようにして、わたしも誰かを言葉で傷つけているかもしれない。

 

生きていると、耳を塞ぎたくなるような言葉が飛び交う場面に出会うこともあるが

本来、言葉はそんなことのために生まれたのではないはずだ。

美しい表現を生み出すことのできる、高度な道具である。

わたしたちは、その心地よさに酔いしれることもある。

言葉が生まれた始まりは、美しい何かを表現するためだったと思いたい。

 

私は言語を音楽のように感じられたらと願って、言葉のオルゴールを5体制作した。

自作の詩や、音を遊ぶような言葉を独自のコード変換のルールを使用して、音楽にしている。

部屋の壁には「オルゴールのコード表」と

テキストを楽譜として表記し直したドローイングが描かれている。

 


「母国の単音と、そのアナグラム」
「母国の単音と、そのアナグラム」

  

いろはにほへとちるぬるをわかよたれそつねなむうイのおくやまけふこえてあさきゆめみしエひもせす

 

あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやイゆエよらりるれろわを

  

「母国の単音と、そのアナグラム」(拡大部分)
「母国の単音と、そのアナグラム」(拡大部分)
「test, test, test」
「test, test, test」

てす

 

 てす

 

わん

 

つー

 

てす

 

てす

 

わん つー

 

 わん

 

「test, test, test」
「test, test, test」

「憧憬」
「憧憬」

 

 

  頭の中に言葉があって

  つまらないことを考えて

  そんなことの為に言葉が使われて

  申し訳ない気持ちになりながら

  「あなたはもっと美しいから」と、無気力に謝る。

 

  記号の源祖なんて正直どうでもいい。

  今ある言葉すら美しく使えない私は

  それでも

  白い壁のへこみを見つめて

 

  へこみ

 

  と言葉が浮かぶ。

 

 

  ただ、それだけのことなのだけど―(endless)

 

 

 

 

 

コード表のドローイング
コード表のドローイング