バベル・コンプレックス 取手の場合

東京芸術大学上野校

取手の土、消石灰、砂利、藁、写真、透明アクリル板、木


 

   ここ取手は

   放射線量の、比較的高い場所である。

 

   私は

   ゆったりとした利根川を眺めながら

   取手で昼食を取るのが好きだ。

 

 

   この穏やかな土地に放射能があるなどと

   一体だれが信じるだろう。

   少なくとも

   私は信じたくなかった。


   創世記「バベルの塔」は

   神が人間の言葉を乱し

   混乱を引き起こす話だ。


   それは自らの力に驕り

   強大な力を手に入れようとした

   人間たちへの訓示でもある。



   今の混沌とした日本を言われている気がした。

   そして取手の現実から目を背けている

   弱い自分を知った。


   私は、取手の土を使って、バベルの塔の再建を試みる。

   この土地が

   再び美しい場所となるよう、願いを込めて


   バベル・コンプレックス 取手の場合

   2014.12.25